単独猟 第16回 “再現”            (猪) 犬なし / スコープ&ボルトアクション銃

【単独猟のポイントは記事の最後にMEMOをまとめています。本文の太字部分と連動させています】

※記事の最後尾にグロテスクな画像があります。Dupoという弾に関心があるハンター向けの内容です。興味本位の方は最後尾まで読み進めないでください※


自宅で猟欲を据銃練習にぶつけたおかげでしょうか、山に入ると不思議と猟欲は湧きあがらず安定した集中力に変わっています。

枯れ沢を横断し、幅広の尾根筋を歩きます。
左手は延々と尾根が連なっています。右手はなだらかな下り斜面が広がっています。

木々の葉が風で吹かれる中、両サイドにバランスよく目配り、耳配り(?)しながら静かに歩きます。右手は数歩上がらないと見下ろせない、そんな位置取りで歩きます。

ふと風が止み、休憩がてら立ち止まると電子イヤマフが微かな音を拾います。
カササカサカサと枯れた葉っぱを蹴る音です。
方向を確かめたくて左だけ装着している電子イヤマフを外して耳を澄ませますが、聞こえません。

鳩サイズの鳥が葉っぱの下にいる虫を探すときに同じような音を立てるので、それかもしれません。

半信半疑のまま、音源を探すために周囲をゆるゆるりと見渡します。
見える範囲、地面に鳥もいないし猪も鹿もいません。

勘違いだったか?と両耳に電子イヤマフを着用して音に集中すると、木々のざわめきとは別に、生き物が動いて出している音が確かに聞こえます。
見えない範囲で音がする、つまり右手の下り斜面をチェックする必要がある、ということです。

木の陰から、下り斜面に胸より上を出すように覗き込むと音の主がいました。
正面50m先に小さなウリ坊(A)です。警戒もせずにフゴフゴと地面を嗅ぎまわっています。

そっと装填の準備をしていると、視界にもう一つうごめくものが入りました。
左前方にもう一頭ウリ坊(B)がいます。

射撃位置から撮影。銃口に近い方がウリ坊A、左手がウリ坊B。



正面のウリ坊(A)はわたしに向かって距離を詰めるように歩いていますが、左前方のウリ坊(B)は徐々に左手の岩肌で凸凹したエリアに向かっていきます。

エリアに入ってしまえば地形が隠してしまうでしょう。

今、必要なものは熟考ではなく素早い判断に違いない。

・一発目で確実に正面のAを仕留め、左に銃口を振って二発目でBを仕留める。
・Aを撃つ音でBは走り出すだろうから見越して撃つ。

作戦はシンプルに。

弾帯から二発、弾を抜き一発目を装填し静かに閉鎖。
もう一発は右手の薬指と小指に挟んで二発目の発射に備え。

もう自宅練習を思い返して目の前の状況に照らし合わせる暇はありません。

正面のウリ坊Aは丸見えですが、ウリ坊Bが手前の木と重なり全身が見えません。
右目でスコープをのぞき正面を見て、左目に意識を戻し左手にフゴフゴと移動するウリ坊Bをとらえます。

ウリ坊Bが、やや太めの二本の木から少し頭を左に向けて出したところで決心。
正面ウリ坊Aのヘッドに狙いをつけます。

目測40m、決して遠くはないですが小さい。多分カカシ的5点の円より小さいです。
小刻みに揺れて歩いています。手前の枯草?がかぶっています。

呼吸を整えます。

「Dupoは50mゼロインで数cmドロップする」
「なだらかな撃ち下ろし」
「少しずつ向かってくる」

よし、よく分からん。

レチクルど真ん中で撃つ。

ヒットした部位は見えませんが、ウリ坊Aは倒れました。足が動いたように見えます。
コンマ数秒、様子を見て走り出す気がしません。

ウリ坊Bがダッシュで左手に走りだしています。
銃口を左方向に振り、ボルトを右手の腹で引き排莢。指に挟んでいた二発目を滑らせるように押し込み装填。

以前に走る鹿を外しているので「見越しで撃つ」と決めていても…と考えたどうかというタイミングでウリ坊Bがスピードを落としました。
登り斜面がわたしに味方します。

逃げているので着弾させることが最優先。

胴体ど真ん中に撃つ。

こちらもヒットした部位は見えませんが倒れています。

動くものは見えず、風の音以外は何も聞こえません。

排莢、弾を装填し近づいていきますが逃げ出す気配はありません。
脱包して探します。

動かないウリ坊A/Bは枯れ葉に紛れてステルス状態でした。


まずはウリ坊Aから探します。
正面でとらえて逃げてもいないのに、見落として通り過ぎてしまいました。

発見時はこちら。枯れ草かと思ったのは枯れて落ちた枝葉でした。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです




ウリ坊Bの捜索は難しかったです。
射撃位置から、左側を中心にして撮影し直したものがこちら。

いかがでしょうか?
ウリ坊Bを捜索する時に見失う予感がしたので射撃位置から撮影したものです。
(ウリ坊Bが入ってると思ったようですが、もはや自分でも見つけられません。実際はもっと左側だったのかもしれません。見つけた方は教えてください..)

周囲を歩き回ってウリ坊Bをようやく見つけました。↓の画像で分かりますか?
写真だから探すのが難しいのではなくて、実際山の中でも難しいです。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

見つけられましたか?
もっと近づいた写真がこちらです。もう視認できますが影で目立ちません。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

さらに数歩近づき、光が差したタイミングで撮影しました。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

何とか無事に2頭のウリ坊A/Bを探しだすことができました。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです


周囲の葉っぱと比べると分かる通り小さい獲物でした。
地形や運が味方してくれたのは間違いありませんが、据銃練習で想定していたパターンと似ていたことが幸いでした。

時間をかけずに判断し、視界を盤面でとらえ、一発目で一頭目を撃ち、仕留めたことを確認して、銃口を振って排莢、二発目を装填、撃つ。
この一連の流れをパッケージで練習していてよかったと感じました。


一撃必殺で一頭獲るイメージ練習だけであれば、二頭目を獲るという選択肢が自分の中に発生しなかったでしょう。

練習内容はこちら
/https://karikurashi.jp/2021/03/10/solo-hunting_the15th_training_no-dog/

右のシールがウリ坊A、左のシールがウリ坊B

【MEMO】

・偶然にも自宅練習を活かせるシチュエーションで想定どおりの射撃が再現できた。
わたしの練習がオススメというわけではなく、自分自身が実現したいイメージをもって練習することが大切ではないかと強く感じた。

・猟欲を練習で自分なりに昇華したことで、山に入ってから冷静に周囲の情報を収集し忍び歩くことに集中できた。

【諸条件】

・鉄砲:ボルトアクション銃20番 SAVAGE turkey

・照準:スコープ vixen1-6X24

・弾種:Dupo

・弾数:2発

・距離:目測40m

・獲物:猪(ウリ坊2頭)

・目的:有害鳥獣対策

※当ブログでは、狩猟と有害鳥獣の駆除で異なる表現を同一に扱ったり暗喩・直喩を用いたりする場合があります。作業工程の記述を省略している場合もあります。いずれの場合も法令に則り適切に行動・処置していますが、誤解を招く表現は速やかに修正しますので「お問い合わせ」よりご連絡ください。

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※ここから先にはグロテスクな画像があります。苦手な方はここまでにしてください※



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20番ボルト銃の精度とDupoのストッピングパワーの組合せを実践を通して研究したいと考えています。

成獣のバイタル等ではダメージが分かりづらいのですが今回のウリ坊2頭は特徴的なケースでした。

単にグロテスクな画像を晒したいのではなく、わたしと同様にDupoの可能性を確認したいハンターの方向けにご紹介します。

興味本位の方には不向きなショッキングな画像です。そういった方が読むのはここまでにしてください。



※ここから先にはグロテスクな画像があります。苦手な方はここまでにしてください※



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正面のウリ坊A

顔面左側に着弾して顔の左半分を吹き飛ばし、弾は胸部に入っていました。
さらに抜けた弾かチップが右足の蹄を千切っていました。

似た状況が12番のDupoでも発生していました。
(成獣の猪の胴体に着弾して、前足を千切っている)
https://karikurashi.jp/2021/01/18/solo-hunting_the11th_boar_no-dog_no-scope/

本体へのダメージに加えて、偶然の産物ですが機動力も下げています。
改めてポテンシャルの高い弾と感じました。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです
※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

左手のウリ坊B

Dupoは着弾後にチップが開いてストッピングパワーを発揮するのが持ち味の弾ですが、胴体が薄いため左側面に着弾して右側面に抜けてしまっています。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

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