単独猟 第11回 “師匠”         (猪) 犬なし/スコープなし スキート銃

【単独猟のポイントは記事の最後にMEMOをまとめています。本文の太字部分と連動させています】

2020年12月某日

前回(第10回)獲った鹿パライダイスを見下ろして手ごろな倒木に腰かけて20分ほど食事をとりますが何もいません。両腿の上に置いていた鉄砲を担ぎ、ボウル状の地形に沿って尾根筋を歩きます。
左手が元・鹿パラダイスで何もいないので、右手に意識を集中して見下ろします。

数歩進んで足を止めて視界をブロックで分けて眺め、また数歩進んで足を止めては先ほど見た場所も含め眺めて、を繰り返して進みます。
鹿パラダイスの近くなので無意識に鹿の姿を探していましたが、大きな黒豆が横たわっていることに気付きました。
40m下った場所に猪が2頭寝ています。

一頭はわたしが立っていても体下半分が手前の凸凹地形に隠れて見えないので、もう一頭の猪を狙います。Dupoを装填し、膝射で構えるとこちらも体下半分が隠れてしまうので立ち上がります。
依託なしの立射、40mの撃ち下ろし。
猪は動かないので呼吸を整え、薄く息を吐いてネックを狙います。頬付け肩付けを再確認してトリガーを絞ります。

命中すると立ち上がって一瞬ふらついた後に斜面を転がりながら走っていきます。自分も一緒に動くと凸凹地形ですぐに見失ってしまうので、見えなくなるギリギリまで目で追います。
もう一頭の猪と陰にいた鹿一頭が走り去るのを視界の端で見送りながら、被弾した猪が視界から消えた場所に目がけて早足で向かい、斜面を滑りおり追跡します。

斜面を30m下り、獣道が倒木で塞がれている場所に頭を突っ込んで体が挟まっています。装填して矢先をバイタルに向けて近づき様子を見ますが、もう動き出す気配はありません。耳を引き上げ、バイタルにナイフを押し込みます。

※第一種銃猟免許保持者が有害鳥獣対策の従事者として法令に則り駆除したものです

脇腹と右前足の間に着弾。ネックを狙っていたので20㎝下方にずれています。

砕けた左前足の近くにDupoのチップが落ちていました。
矢に強いと言われる猪を一発で撃沈する強い味方です。

脂がのったブルブルで背中の毛がボアボアのでかいメス猪を獲って嬉しいのですが、重くて入山ポイントに向けて斜面を登れません。下るとどこに出るのか見当がつかなくてこの山に詳しい師匠にヘルプお願いしました。
久しく一緒に出猟していませんが、なにかと気にかけてくれる師匠に感謝を込めて肉を全て受け取ってもらいました。わたしは大好きな心臓(ハツ)をもらいます。

下山中にも黒い岩が転がっていると師匠は指さしてチェックを促してきます。もう一回バラす元気はなくなっていて「全て岩でよかった…」とチキンなことを心でつぶやきます。見透かされたように、ほれ先導して、と言われます。

裾野まできました。深さ2.5m(内壁は垂直)の枯れた用水路が長々とあって立ち止まります。わたしに追いついた師匠に尋ねます。
「そういえば師匠はどこから来てくれたんでしたっけ?」
『この用水路を越えてきたよ』
「えぇっ???」
と戸惑うわたしを尻目に、長さ3m弱、直径20cmほどの頑丈な倒木を用水路に入れて、内壁に立てかけます。言われたとおり用水路からはみ出した部分をおさえていると師匠がホイホイと木を伝っておりていきます。続いてわたしもおります。

逆サイドに登る手がかりを探してキョロキョロしてると師匠は登り終えています。いったいどうやって?と思わず笑ってしまいました。
わたしは長さ1.5mほどの太い枝を立てかけて足場を作り、上から引き揚げてもらいました。がっちり肉の詰まった手でつかまれて、安心感のある力強さだなぁと惚れ惚れしました。

【MEMO】

・忍び猟の捜索目線の移動として、数歩進んで見渡す場合、数歩前と同じ場所を見ているようだが実際は違う。木や岩、地形の凸凹に隠れた獲物は数歩進んで発見することがある。
また、そのくらいのスピードで進むと獲物から発見されにくく、見つかっても即座に逃げ出されない場合もある。

被弾して走りだした獲物の追い方は模索中だが、野山を走っている間の鹿や猪は半矢だろうと追いつくことは不可能。一緒に走って追うと、一層勢いよく逃げる感じがするし、自分の足元を確認するために視線が走る獲物から離れてしまい早めにロストしやすい。滑落などのケガに繋がる懸念もある。
視界から消えるまでしっかり目で追う方法をしばらく試す。

【諸条件】

・鉄砲:上下二連スキート用12番

・照準:リブ+照星(光学機器なし)

・弾種:Dupo 

・弾数:1発発射-1発命中(脇腹と前足の間)

・距離:目測40m

・獲物:猪(メス)-回収済

・目的:有害鳥獣対策

※当ブログでは、狩猟と有害鳥獣の駆除で異なる表現を同一に扱ったり暗喩・直喩を用いたりする場合があります。作業工程の記述を省略している場合もあります。いずれの場合も法令に則り適切に行動・処置していますが、誤解を招く表現は速やかに修正しますので「お問い合わせ」よりご連絡ください。

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