単独猟 第19回 “逸機”            (猪/鹿) 犬なし / スコープ&ボルトアクション銃

【単独猟のポイントは記事の最後にMEMOをまとめています。本文の太字部分と連動させています】

2021年3月某日


射撃練習でテンションは高まってます。
獲物さえ見かければターン、ターンと撃ち獲れるはずです。

なんて調子にのっていると実力を知ることになります。



今まで一番通った馴染みのある山です。前回は獲物の気配が薄くて心配しました。

chance-0

入山ポイントは切り立った場所です。切れた毛がパラパラと散らかっています。
いきなりエンカウントする可能性があると勘が働きます。

踊り場のように落ち着けるスペースまで来ると、鹿の皮がカラカラになっていました。
この山は師匠とわたし以外にハンターは来ないはず。

自然の中で果てた個体のようです。病気の可能性があるため触りません。
肉・内臓、頭部はなくなっていました。前足部分と全身の毛皮のみです。

珍しいものを見ました。いつもと何か違うかもしれませんね。



chance-1

忍び猟の基本、SLLSを大切にじわじわと尾根筋を直登します。
中腹で立ち止まって周囲を窺っていると、通り過ぎたルートをウリボーがガサガサガサーっと横切って行きました。

山に入って15分で獲物を見かけるとは幸先がいいです。


chance-2

死角となっている丘を越えると、過去に鹿が群れをなしていたエリアに到着です。
「あの位置まできたら忍びモード全開に切り替えて・・・そのあとはじっくりと・・・」という位置の手前で、軽快に小走ってきたバンビ4頭と鉢合わせしました。

完全に不意を突かれてしまい(ただの準備不足..)鉄砲を構えることもなくてタッタカターと走り去って行きました。

たくさんいますね。次に遭ったら美味しいサイズの鹿ゲットでしょう。

chance-3

いつも以上に奥山まで足を延ばし、そろそろお腹が空いてきました。
食事の時は座って動きがなく静かになるため射程圏内を鹿や猪が通ることがあります。
初のエリアなので周囲を丹念にチェックして座る場所を探します。

1段あたり0.5~1mで4段の階段状になった下り坂があります。
静かに降りて、スリングを近くの枝にかけてリュックをおろします。

眼前には数メートルの下り、枯れた沢のような跡があって向かいには空が見づらいほどの上り斜面がそびえています。座る場所もいいし、景色もいいです。

さて飯食うか!とドスンと座ったら、2段下の階段(オーバーハングで死角になっていた)から二段角のオス鹿がスタコラーと駆けて去りました。

おぉ..完全に意識の外から現れたな..
毛並みまで見える距離だったけど手も足もでませんでした。

しばらく角を取ってないので、もう一回遭遇すれば獲りたいですね。

chance-4

昼食を終えて、2段下のオーバーハングを確かめた後にオス鹿が去った方へ行こうと思いましたが、停車位置からかなり離れてしまいました。

少し追っていなければ折り返します。復路で獲ればいいでしょう。

左手に上り斜面。谷底を歩きます。
電子イヤマフが キューイ とも ピューイ とも聞こえる音を拾います。

左手の斜面に何かいる。近くの木に身を隠し、斜面を隅々まで見ます。
集中して見聞きしていると、チョロチョロと水も流れています。
枯れ沢と思いましたがこの山奥で水場があるなら動物たちが集まってきそうです。

ずっと、キューイ の音がどこからするか探します。

するとガシッ、ガシッと音がします。これはもしかしてオス鹿が角研ぎ。
キュー、ガシガシキュー、ガシキュー…

何かおかしいです。
獲物の姿を探していたときには集中しすぎて気付きませんでしたが、あまりにも長いのです。

キューイは鳴き声というよりは木と木が擦れてる摩擦音のようです。
ガシガシの音も、あまりに定期的かつ継続的なのです。
何の音か最後まで分かりませんでしたが、流れている水が動力になって音が発生しているのかもしれません。

何もいないところで勘違いに足止めされてしまいました。

気を取り直して歩き出します。
左斜面、山と空の境界線から二頭の中型サイズの鹿が全身を見せました。

しかし遠いです。150m以上はあるでしょう。見送ります。

獲物たち、いるのは間違いありません。ここで折り返します。


chance-5

しばらく獲物をみかけないアップダウンを抜けて、見慣れたエリアに近づいてきました。もう30分も歩けば車に戻る場所です。

奥山まで歩いたうえに、勘違いのタイムロスもあって日が落ちてきています。

山道との距離はありますが意識して平行に歩きます。
暗くなって最悪の場合は、山に入る場所ではなく山道へ抜けることができるようにリスクヘッジします。
獲物がいるかどうかよく知らないエリアですが、遭難のリスクを下げるためにやむを得ない判断です。

と、リスクヘッジしたつもりが、よく知らないエリアにはよく知らない地形・植生が待っています。
日頃は避けている藪に突入しました。藪に入ると進むために足元や周囲に注意を払うため、視点が遠くから自分の周辺になります。

それでもスニーキングは続けています。
つまり何が起きるか。

藪エリアの中で、まだらに開けたスペースがあったのですが、気付いたらドンッと目の前に4頭のバンビがいました。

鹿もわたしも驚いて、鹿たちはピューっと逃げていきます。
藪の移動に気を取られまったく臨戦態勢のとれていないわたしは鉄砲を構えることに気が回らず、呆然と見送りました。疲れてきて集中力が落ちている気もします。

もしかして午前中に見かけた4頭でしょうか。
親鹿が一緒にいないようなので、4頭であちらこちらを散策していたのかもしれません。

わたしの帰る方向へ走っていったので、運が良ければラストチャンスの可能性も。


chance-6

薄暗くなってきました。
この時間帯になると獲ることよりも、いち早く山から出る優先度が高まります。

車が通れば音が聞こえるくらい山道寄りに移動して、停車位置へ向かいます。
(いっそ山道に出て車に戻ればいいじゃない、という声が聞こえてきそうですが、山道沿いに1~4mの高さ法面がコンクリで平らに固めてあります。落石や土砂崩れが多い場所はコンクリ壁の上に金網が張られています。下手に山道に抜けようとすると、鉄砲やリュックを抱えて数メートルの高さから飛び降りることになります。遭難はしないものの違う意味で危ないので、この山では入山ポイントに向かうことになります)

Googleマップで位置を確認すると間もなく入山ポイントです。
といっても初めて通る場所です。

昔、林業で使われていたらしい古い道の跡に出ました。
スニーキングは止めていて、少し急ぎ足で下山します。

最後の谷間を抜けようとした時、20mほど離れた後方の死角から二頭の鹿が走り去っていきました。今、通ってきた場所から鹿が飛び出したように錯覚するような近さです。

え?そんなことある?と思いましたが、鉄砲を構える気持ちの余裕はありません。

そして、山を出ました。

久しぶりの長丁場でした。車の中で一息つきます。

9時間近く昼飯以外に休憩をとらず忍び歩き続けていました。
これだけ長く歩いたのは初めてで、これだけ多くの獲物を見かけたのも初めてです。

しかしボウスでした。

「獲物に遭遇すれば獲れる」と息巻くわたしをたしなめるように、山の神様が気付かせてくれたのでしょう。

【MEMO】

・暗くなるまで山歩きするのはNGと頭で分かっていながら遅くなった理由は”猟欲”
「せっかく鉄砲のセッティングができて射撃練習も納得できたのだから、獲物を撃ち獲って射撃精度を確認したい」という気持ちがあった。

・無暗な “猟欲” は事故の元。反省。

【諸条件】

・鉄砲:ボルトアクション銃20番 SAVAGE turkey

・照準:スコープ vixen1-6X24

・弾種:-

・弾数:-

・距離:-

・獲物:なし

・目的:有害鳥獣対策

※当ブログでは、狩猟と有害鳥獣の駆除で異なる表現を同一に扱ったり暗喩・直喩を用いたりする場合があります。作業工程の記述を省略している場合もあります。いずれの場合も法令に則り適切に行動・処置していますが、誤解を招く表現は速やかに修正しますので「お問い合わせ」よりご連絡ください。

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