—-(前編)の続きです—-
【単独猟のポイントは記事の最後にMEMOをまとめています。本文の太字部分と連動させています】
前編で獲った鹿の解体中にパラパラと雨が降ってきました。
一頭目が早かったので時間の余裕があります。
背中に鹿の重さを感じながら雨をしのげる場所を探します。
小さな崖のような場所に立ち周囲を見渡してガサガサと歩いていると3~4m下の茂みに3頭の子鹿が潜んでいて、ピャッとも鳴かずに走り去りました。
急に親鹿がいなくなったので近くで待っていたのかもしれません。
バンビは茂みに隠されて育てられると聞いたことがあります。安心の場所だったのでしょうか。
撃った場所から50mも離れていない場所に潜んでいるとは思わず。
雨宿りの場所探しに意識が向いていて全く反応できませんでした。
成獣の鹿は肉が多いためリュックの外にもビニール袋を提げています。
機動力が下がります。
簡易な雨具も持っていなかったので、早く雨をしのげる場所を探す必要があります。
2-3mオーバーハングした大岩のふもとが濡れていません。乾いた落ち葉を確かめ椅子状の岩に座り、背中の荷物を置きます。
ここは竹林と通常の樹木が交わるエリアです。
雨が竹林を打つ様子を見て一息つくと、鉄砲を太もものうえに寝かせます。
こうやって何もせず休憩していると獲物が素通りすることがあります。弾を右手に持って待ちます。
少しぼんやりとした頃、前方で黒い物体がうごめくように見えます。
ハッとして目を凝らすと、ウリ坊が倒れた竹の下をくぐろうとしているのか、何か食べ物でも探しているのか夢中に頭を動かしています。
目測20m。立ち上がっても岩の椅子から降りてもすぐに気付かる距離。
手の内にある弾を静かに装填し、岩に腰かけたままウリ坊のネックからバイタルを狙います。
座って上半身を伸ばしているので、姿勢安定させるためにできることは両脇をしめて構えるくらいです。肘を足の上に置けば安定しそうですが屈むと猪が見えなくなります。
竹の下に潜り込むよな素振りが見えます。これ以上潜られたり奥へ移動されたりすると視認しづらくなります。
ただでさえ的が小さいので体が見えているうちに撃つ必要があります。
狙いはネックからバイタル、的が広いし致死率も高い。
呼吸のスピードを落とし、頬付けと肩付けを再確認しトリガーを絞ります。
射撃音とともに動きが止まりました。命中です。

全身濡れたウリ坊を仕留めました。
近寄って確かめると目の後ろに着弾していました。こちらから見ると5円玉サイズの穴が一つあるだけです。
逆サイドを見ると右頬に500円玉2枚分ほどの穴が開いていました。
骨や肉が見えていましたが大して出血はありませんでした。
(Dupoの記録用に撮影したい気持ちより、寒くて早く片づけたい気持ちが上回って下の一枚のみ)
座射や膝射の練習をしていないので「練習しないと」とつぶやいていますが、どちらも地面に尻や膝をつけて、腕を足に乗せるので姿勢が違いますね。
射撃場で委託射撃用の椅子に座って撃てば練習できますが、猟場で同じ姿勢で撃つ機会はほぼないでしょう。今後もきっと練習しないと思います。
(名付けて、椅射、席射、腰かけ射撃..うーんネーミングセンス..笑)
前回(第16回)では猪が2頭獲れ、今回は鹿と猪が1頭ずつ獲れました。
半矢や失中を出さずに順調に進んでいます。
自分のスタイルに合わせて少しずつスキルアップできているようです。
【MEMO】
〈前編〉
・電子イヤマフを使った捜索は有効。耳の保護だけでなく捜索の武器として使いたい。
・鹿の親子グループ。親鹿を先に狙撃すると判断力の低い子鹿を狙う機会に繋がる可能性がある。
〈後編〉
・静かに休憩することは、獲物から見れば待ち伏せされている状態と同じ。射撃姿勢に移行できるように心構えがあればそのままチャンスとなる。
(疲労を見極めて休息すべき時は専念すべきであることが大前提)
・岩の椅子に座った姿勢から初めて撃ちほぼ狙い通りに着弾した。上半身は立射姿勢の派生と考えられるので、一つの姿勢を練習しておくことで別の姿勢に応用ができる可能性がある。
【諸条件】
・鉄砲:ボルトアクション銃20番
・照準:スコープ vixen1-6X24
・弾種:Dupo
・弾数:それぞれ1発発射-1発命中(鹿:バイタル / ウリ坊:ヘッド)
・距離: 鹿-目測50m ウリ坊-目測20m
・獲物:鹿1頭、ウリ坊1頭
・目的:有害鳥獣対策
※当ブログでは、狩猟と有害鳥獣の駆除で異なる表現を同一に扱ったり暗喩・直喩を用いたりする場合があります。作業工程の記述を省略している場合もあります。いずれの場合も法令に則り適切に行動・処置していますが、誤解を招く表現は速やかに修正しますので「お問い合わせ」よりご連絡ください。